住宅リフォーム推進協議会 リフォームよもやま話

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第54話 コンバージョンは本当にどんどん普及しているのか
 2002年に当社も参画して発足した産官学研究コンソーシアム「建物のコンバージョンによる都市空間有効活用技術研究会」の活動が起点となり、収益性の低下したオフィスビルを住宅に転用するコンバージョンがマスコミに数多く取り上げられました。

 しかし、多少本格的な住宅へのコンバージョンの実施となると10棟程度しかみられません。コンバージョンの潜在市場を全国で2000億円/年と試算した例もあり、数多くの事業者が新市場として参入を検討しましたが、実際には適切な物件の選定が難しく、また収支が合わず模様眺めの状況が続いています。今後本当に普及するのか以下に概観してみます。

 普及の停滞している要因の一つとして不動産市場が挙げられます。現在、首都圏を中心として不動産市況は活性化を取り戻していますが、取引の約70%は不動産投資ファンド、REITを中心とした投資目的売買となっています。この売買の主流である稼働オフィス取得競争が激化し、リスクの高い商業、住宅などの建種に拡大し、従来取り引きされていなかった中小ビルや築40年前後の老朽化ビルにシフトしています。

 しかし、軽微な改修と、リーシング、PMなどのソフト中心の追加投資後に転売されるケースが多く、改修工事費の追加投資効率の面から、住宅へのコンバージョンはあまり進んでいない状況です。また、完成在庫が出ているといわれている中でも分譲マンションの土地負担力が依然高い状況が続いており、これも逆風の一つとして挙げられます。

 この中で成功している首都圏のコンバージョンプロジェクトは以下の特徴が挙げられます。 古いオフィスからコンバージョンされるマンションは、一般的なマンションの内装を施すだけでは入居者から見て魅力が少なく、単なるリフォームやリニューアルとは一線を画し、ビル資産を再生させる仕組みをプログラムすることがポイントとなります。

 すなわち、少なくとも改修工事の投資分に見合う2500〜3500円/月・坪の賃貸収入の増加が図れる商品企画が必要であり、既存建物の持つ長所や味を引き出し、新築マンションとは異なる明確な商品コンセプトを造り込んでいる点にあります。事業的側面では長期間安定的に収益をもたらす特徴とともに、老朽化したビルのCAPEX (capital expenditure;不動産の価値、耐久年数を延ばすための経費)をコンバージョンすることにより縮減できる技術を盛り込む必要があります。

 今後の市場動向として、首都圏では不動産の取得競争により投資利回りが相対的に低下しており、この影響により、関西、中部圏も徐々に投資対象の取引が増加し、不動産市場を底上げする兆しが見え始めています。

 このため、関西、中部圏においても改修してもテナントを集めづらいオフィスビルの収益性を改善する運用方策として、首都圏で行われ始めた賃貸住宅以外の用途も含めたコンバージョンは徐々にですが増加していくものと予想されます。
(株)竹中工務店
アセットバリュープロデュース本部長
忍 裕司(おし ゆうじ)

〒136-0075 江東区新砂1-1-1
TEL 03-6810-5679
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