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第53話 家族で楽しむリフォームの醍醐味
我が家の一人娘が小学校に入学する年になり、少し広い部屋に住み替えた。同じマンションの2階から4階へ、水平方向に10m、垂直方向に6m先の新居である。
住み替えを機会に、リフォームをすることにした。といっても、設備はまだ10年経っていないので、それほど傷んでいるものはない。で、何をするか家族会議の結果、私の提案の中から浴室の取替えと省エネ(エネルギー消費表示)、家内の提案の中から自然建材(珪藻土)壁など仕上げ関係のリフォームをそれぞれ採用し、実施することにした。 それからというもの、どのような仕様にすればよいか、悩み始めたが、これが楽しい。 思えば、建築関係の仕事をしていながら、分譲された(自分で設計しない)共同住宅を購入して住んでいるのだから、今までの自邸では仕事の経験が生かされていないのも同様である。しかし、いざはじめてみると、これはあるいは、建築関係に携わっていなくても、自分の部屋の模様替えはおそらく考えるであろう、それがストレス発散になるという人も多いと聞く。その延長で家全体を考えることができるのであるから、楽しくないはずはないのであろう。 一通りの図面を管理会社から取り寄せ、さあイメージが膨らんでゆく。 浴室計画は、入浴好きの私にとって今まで膝を抱えて入っていた浴槽から、親子で足を伸ばして入れるようにしたいことが大きな動機だったので、ショールームに行って浴槽に入ったりしながら、適切なものを見つけていった。しかし、入るかどうかが問題で、当初は業者さんも難色を示していた。こちらも従来のバスユニットの図面を入手し、新規のものとクリアランスをあたりながら、ユーティリティーにできるだけ影響せずに取り付けられる解を考える、まるでパズルを解くかのような作業である。 省エネについては、私が以前に関わった、コンセント毎に分電盤回路を分岐させて回路毎のエネルギー消費が計測・表示できる分電盤を使ってみたいという動機から、設備の取り替えではなく、機器をどのくらい使用しているかを表示することにより無駄遣いを抑える、省エネ啓発をコンセプトとした。 回路を分岐する方法も、使用する側からの提案では一般的な使用形態とずいぶん異なった方法となることなど、計画をしていくといろんな発見があったりする。 珪藻土の壁は、多少不安な気持ちがあったので、効果を得るための厚みなど、いろいろと調べてみた。多少不安もないわけではなかったが、結局試行してみることにした。 かくして、いざ実際に工事が始まると、私も家内も、つとめて現場の職人さんと連絡を密にするようにした。出社時刻をずらしたり、職人さんに朝早く来ていただいたり。それもこれも、私たちの考えがうまく伝わるように、意図どおりのものができるように、リフォームの場合には、図面ですべてを表現することは難しい。それだけ新築より、事細かいやりとりが欠かせないことを認識しておくことは重要である。 たとえば、珪藻土はこちらが打合せの必要性を認識していなかった(クロスの場合には品番指定だけでよい)が、今回は違う。色あわせ、つや、塗る厚み、目の粗さやこてのかけかた、出隅の処理など、実に細かい確認をしながらであったが、お互いに勉強になればとの思いで、とりあえず私はそういう思いで、私たちの要望、プロの方の意見をうまく融合させながらひとつひとつの部分を仕上げていく、芸術的な仕事であった。 気がつけば、家族そろってイベントに参加することと同じようにリフォームを楽しんでいる、そんな醍醐味をいつの間にか味わっていたのである。 そしてようやく完成。 結論として、私たち施主と業者さんとが打合せをしたから仕上がりに納得できた部分が多々あると感じる。打合せのプロセスは、たとえ忙しいときであっても欠かさないようにすることが依頼する側にとっても、工事をする側にとっても重要なことであると感じる。任せきり、(=任されきり)でする仕事はおすすめしない。手間をかけることは、きっとそれ以上の満足を得ることになるであろう。 リフォームごとき、ではなく、リフォームだから、である。 リフォームのプロセスを一緒に見ていたわが子にとっても、リフォームは面白かったようである。自分の部屋ができるということもあったのであろうが、窓ガラスや雑巾がけなど、自らの住まいをきれいにすることで、それを維持、向上させようという意識が働いたのであろうか?幼少期にこういう経験もよいかと実感した。 あれから1年が経った。風呂は親子の貴重な会話の空間になった。また、1.4倍の広さになってもエネルギー消費はほとんど変わらずに済んだ。 しかし何よりも、リフォームした結果、向上したのは家族の心の快適性であったような気がする。
はじめての雑巾がけ記念
財団法人建築環境・省エネルギー機構
企画・環境部 課長 青木 正諭 〒102-0084 東京都千代田区二番町4-5 TEL 03-3222-6737 FAX 03-3222-6696
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