住宅リフォーム推進協議会 リフォームよもやま話

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第51話 リフォームをしてお客様に喜ばれた話、苦労した話
●マイナスのデザイン

 最近出版が増えたリフォームの雑誌にこう書かれています。「リフォームは多くの場合、使いづらい、家族構成が変わったといったマイナスの状況から始まります。それでもためらうことはありません。マイナスをプラスに変えるのがリフォームの醍醐味です。」

 一般向けの文章ながら確かにその通りだと思う事があります。茶道の話でこんな話があります。千利休が武野紹鴎に弟子入りした時の試験が庭掃除で「侘び」を表現せよということであり、そこで利休がしたことは一遍掃除した庭に木を揺らして落ち葉をまいたということでした。

 ここでは一遍無くしてから新たに表現し、そのものを見せやすくするという「マイナスのデザイン」がなされています。リフォームの行為もそれと似た行為であり、まさに無くしてから新たに作ることが劇的な思いを生みやすくしている気がします。


●苦労した話

 苦労した話の多くが結局は施主との打合せが上手くいかないとか、図面がないとか、壊してみると違うものが出てくるといったことのような気がします。

 しかしながらマイナスをプラスに変えるという観点から考えるとそれはむしろやる気になる材料のひとつと思えることがあります。

 店舗併用長屋の改築で、仕事優先で生活スペースがなくなり、食事スペースをみたら業務用のシンクとコンロだけで配膳スペースがなく、ものであふれたその場所で施主が「こんなところで食事しているのよ、かわいそうでしょう」と言ったことがあります。なぜかその言いようにとても燃えたことを憶えています。


●喜ばれた話

 直したいことをちゃんと伝えて、少しのアイディアを大事にすれば、どうにもならないと思ったことも変えることができます。これが出来ればだいたい喜んでもらえる結果になります。

 あとは予算。しかしそれだけではない建築家と施主の潔さみたいなものが必ずいい建築・いい生活にはあるような気がします。前記の長屋のお施主はその潔さというか、どうなっても楽しめるという感覚をもっていたような気がします、しかもかなりものを。

 出来上がったあとに孫から「おばあちゃんの家がショールームになった。」とそれを喜ぶのでもなく、わりと普通のことのように話すこの施主との出会いに、ただ感謝。そしてマイナスをプ ラスに変えることを求めていきたいと思っています。
上野タケシ建築設計事務所 上野タケシ

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