
|
第47話 計り知れない顧客満足度
平成2年頃、ある有名な文化人(女性)の方のマンション内装リニュアル工事で当時お付き合いしているデザイン事務所に相談を受けました。
当社が工事に関わっていなかったが、非常に親しくお付き合いさせて頂いていたので話を聞くと、そのマンション内装工事をデザイン事務所がデザインをされてオーナーが外国に仕事で行っている間に完成させてほしいとの事。 しかし打合せでは居間の照明器具一つとってもなかなか決まらず、次の打合せに進めない状態だとのことで、人なれしている私に同席してもらって、話を聞いてなんとかオーナーを説得してもらいたいとの要請があり、わけがわからず打合せに参加するはめになり、オーナーのご自宅に伺いました。 居間に付ける照明をデザイン事務所の方が説明をしても、オーナーの方が「何故?何故?」と決めた理由を問うばかりで、ともすれば照明器具の世界各地にまつわる話にのめりこんでなかなか決まらない状態でした。私たちが知らない照明の事、その文化的な背景等はとても勉強になりました。 ただ、お約束した一ヵ月の工期ので完成させるためには、ここ数日で打合せ、工事スペックを決めないと工事にかかれなくなってしまいます。と説明しても納得が行かず、中途半端な決め方をしたくないとの事、ともかく非常に照明器具にこだわっているようでした。 同席した私は、ただただ話を聞くばかりで内心頑固なオーナーだなと思いました。デザイン事務所の方がオーナーに「ではオーナーはどのような器具をお望みですか?」との質問に「それはあなたたちが決める事」といっこうに意見を言ってくれません。なかなか話が進まないのがよく分かりました。 デザイン事務所の先生が非常に困った様子で私に何か言ってもらいたいような感じだったので、正直私のお客さんではないのもあったせいか、いい加減にしてほしいと言う気持ちが内心あったのか、私はオーナーに「照明器具なんて要らないんじゃないですか」と言ってしまいました。ちょうど打合せをして夜になり、月の光が印象にあったのか窓越しの月を見て「窓を開ければほらこんなに明るい月の光があり、また昼間はこうこうと照らす太陽の光があるじゃないですか、まさしく照明器具があるじゃないですか」といってしまって、早く打合せを終わりにしたいとその事ばかり考えた結果その様な言葉になったのだと今考えると思います。 その言葉を聞いてオーナーにしかられると又、デザイン事務所の先生に印象が悪く思われるかと思いきや、オーナーが笑い始め「あなたたちの決めたものでいいわ。今後一切あなたたちで決めて相談は最小限で行きましょう」といってくれました。何がなんだかわからないままにお茶をご馳走されその日は帰りました。 顧客の満足度は計り知れないものがあり、考え方一つでよくもなり、悪くもなり正解はないのだなとつくづく感じました。
(株)シミズ・ビルライフケア
営業部 松村 良一 東京都港区芝浦1-2-3 シーバンスS館21階
┃
よもやま話バックナンバー
┃
よもやま話 最新号
┃
|