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第22話 自然の力を活かした住まい方
今年の夏、冷房を使うことなく涼しく快適に暮していらっしゃるお宅をお訪ねするチャンスがありました。その日の外気温は、36.6℃。この夏一番の暑さです。駅からのアスファルトの商店街は気温以上に暑く感じます。が、そのお宅に一歩入ると、ひんやりした空間に包まれました。その時の室温は27.5℃でした。
その住宅は設計の段階から、自然の力を活かして室内を快適にする工夫がなされています。夜間の冷気を十分取り込むことができるように、防犯上安全な対策をした窓を一晩中開けて、家中を涼しい風が通りぬけます。この冷気を、躯体に十分貯え、朝起きると窓を閉めます。窓やテラスには、直射日光があたらないように、植物や布の日よけがつけられています。昼間は涼しい空気を逃がさないように閉めてはいますが、家中の空気は扇風機でたえず動いていて快適です。夕方近くになると、室温を外気温の両方が測れる温度計を見ながら、ほぼ同じ温度になったら窓を開けます。 お話しを伺うと、朝26〜27℃でスタートすると夕方まで窓を閉め切っていても1.5℃くらいしか上がらないそうです。「夏のうち、数日は夜10時頃まで、外気温が下がらず窓をあけない日がある。ほとんどの日は快適に涼しく生活できている。夏は、自宅が快適なので、あまり出かけたくない。」などともおっしゃっていました。 予想以上の快適さを実感して、リフォームの住宅にも取り入れられないか、自宅で実験を開始しました。我が家の現状では、この夏すぐに、昼間に窓を閉めることは難しそうです。次に家のまわりの熱源になっていると思える場所の温度を放射温度計で測ってみました。外気温33.4℃の日に、日のあたるウッドテラスの上は、42℃でした。そのテラスの上に手持ちの薄い布で日よけを取り付けてみました。すると、日陰になったテラスは32℃になりました。それだけで、窓から入る風があきらかに違います。「外の暑さを入れない」ということが、涼しく暮す基本ということを再認識しました。 そこで、現在リフォームを依頼されている住宅の窓の外に、日射遮蔽ができるようにフックなどを取り付けることにしました。打ち合わせで、仕掛けは設置しておくので、様々に工夫をしながら暮して欲しいこと、自然の力を活かして快適に暮すためには、建築で対応するだけでは不足で、住み手の日々の観察と行動が必要だということを説明しました。施主は、来年の夏の挑戦を楽しみにしてくれています。 これからは、自然の力を活かして住環境を快適にするための提案がますます重要になっていくだろう、と強く感じています。
伊藤牧子設計室 代表
伊藤 牧子 横浜市磯子区磯子5-3-2-404 TEL 045-752-2870
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