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12第2章「長寿命化リフォーム」ビジネスレポート木造密集住宅の性能向上を東京都江東区に本社を置くM工務店は、戦後すぐから昭和40年代頃までに建てられた旧い木造住宅が密集するエリアに位置します。これらの多くは狭小敷地に建てられ、老朽化に加えて接道の狭さや耐震性能の低さ、災害の懸念、居住者の高齢化、建物の空室化などが問題となっています。こうした住宅の質を向上させるため、同社では「既存住宅資産化リフォームシステムモデル」を展開。平成21年以来、国交省の「長期優良住宅先導事業」の既存改修部門にも3年連続して採択されています。地盤状況や耐震性能も極力把握M工務店では、お客様からの問い合わせを受けると現地にうかがい、聞き取り調査の後に現場調査を実施します。主に目視による調査の他、水平器や鉄筋センサー、シュミットハンマー等を用いて簡易な非破壊検査も実施します。一帯は河川が多く地盤が弱めであるため、地盤についてもチェックします。目視や簡易測定で、建物の傾きや沈下具合、電柱の埋設状態、隣家との関係などを調査するだけでも、ある程度の状態がつかめるとのことです。区による耐震診断や改修の助成制度もありますが、既存不適格の住宅には適用できないため、可能な範囲で耐震性能のチェックにも努めます。こうした診断やヒアリングをもとに、「現状建物調査チェックシート」や「建物現状の評価表」を作成し、既存建物の現状性能や問題点を明らかにします。チェックシートは各部位ごとに老朽具合等を示し、評価表では建物全体の耐久、耐震、温熱、劣化、維持管理、高齢者配慮、耐火性などについて分析し、示します。図面や点検時の写真も提示することで、お客様に建物の現状を正確に理解してもらいます。次いで、全体リフォーム計画書と改修プラン(図面)を提示し、居住者にリフォームを提案します。具体的な改善方法について、部位別・優先順位別に、改修内容と費用の目安を提示します。併せて資金計画などファイナンシャル相談も行い、資金が十分でない場合、工事を数回に分けて段階的に実施するなどの提案もしていきます。こうした打ち合わせを重ねて本契約を交わし、リフォーム工事に入ります。工事後は性能検査を実施し、再度「建物チェックシート」と「建物評価書」を提示し、写真も添えて施工への不安を払拭してもらいます。また引き渡しの際は、各種作成、発行した図面や書類、保証書や写真等をまとめた「住まいの管理カルテ」をお客様に渡し、以後の維持管理に役立てていただきます。なお、耐震改修は多額の費用がかかりますが、同社では国の基準を満たさなくても、一定の性能向上が図れれば良いという柔軟な考えを示しています。比較的安価な部分補強であっても性能向上は図れ、万一大地震に遭っても倒壊までに居住者が脱出できる時間の確保だけでも意義あることと捉え、お客様との合意を高めています。