「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅷ
10/100

04[第1章]ストック型社会における長寿命化リフォームの重要性1-2 長寿命化リフォームの意義と役割既存の住宅を長期使用していく「ストック型」社会への転換が課題となっています人口減少の中、増える住宅ストック 日本の人口は2008年にピークを迎え、人口減少社会に突入しています。2015年に実施した国勢調査によると、同年10月1日現在の総人口は約1億2709万人(外国人を含む)ですが、2035年には約1億1522万人に、2065年には約8808万人にまで人口が減少すると推計されています(「日本の将来推計人口(平成29年推計)」国立社会保障・人口問題研究所)(図1−2)。人口減少に伴い、世帯数も減少傾向に向かい、核家族化するなど平均世帯人員も小さくなっています。 一方、住宅ストックに目を向けると、総住宅数は約6063万戸(2013年)に達し、5年前に比べて約304万戸(5.3%)増加しています。それ以降も年間90万戸程度の新築住宅が建てられ、2016年に建てられた住宅数は約97万戸となっています。年間100万戸以上が建設されていた時期(1968〜2008年)には及ばないものの、1年間に建てられる新築住宅は2年連続で増加しており、年間100万戸に迫る勢いとなっています。 世帯数が減少しているのに住宅ストック数は増加しているため、その分、使われない住宅ストックが増えていくことになります。2013年の空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は13.5%に達し、およそ7〜8軒に1軒以上が空き家であることがわかりました。2033年には空き家率が30.4%に達するという推計も出ています(図1−3)。 ライフステージやライフスタイルの変化等に応じて、私たちは、ときに住み替えも必要ですから、一定数の空き家は不可欠です。しかし、管理の行き届いていない住宅ストックも見受けられ、現在の空き家数の多さは健全な状況とはいい難いものがあります。手頃な価格で手に入る良質な住宅を 住宅取得の際、いくらなら無理なく購入できるかという目安のひとつに「年収倍率」があります。これは住宅価格を年収で割った数字で、一般に5倍以内が望ましいとされています。 しかし、住宅価格の高騰や住まい手の年収の低下・停滞傾向から、近年この年収倍率が上昇しており、住宅取得が徐々に難しい世の中になっていることがうかがえます。特に新築住宅ではこの傾向が強く、首都圏における新築マンション価格の年収倍率は7.0倍に達しています(図1−4)。 新築住宅を取得しにくい社会情勢下においては、持ち家を希望する方が無理なく住宅を手に入れるためには、既存住宅の活用が欠かせません。 今後、住宅産業においては一定数の新築住宅供給も必要ですが、それ以上に既存の住宅ストックを活用し、良質で手頃な価格の住宅を提供することが不可欠といえます。 一度つくった住宅を短期に消費し、建替えを繰り返す従来の「フロー型」社会でなく、今ある住宅を長期にわたって大切に使い続けていく「ストック型」社会への転換が課題となっています。● 人口が減り、家が余る時代では、新築住宅を建て続けるのでなく  既存ストックの活用が求められていきます。● 良質の住宅による「ストック型」社会を形成するためには、  既存住宅を長寿命で高性能なものにしていくことが不可欠です。ここがポイント!

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る