「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅶ
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02はじめに ストック型社会と長寿命化リフォーム1 長寿命化リフォームが求められる社会背景1-1 変化する社会とこれからの住まいのあり方既存の住宅を長期使用していく「ストック型社会」への転換が進んでいます人口減少の中、増える住宅ストック 日本の人口は2008年にピークを迎え、現在減少へと辿り始めました。2015年に実施した国勢調査によると、同年10月1日現在の日本人の総人口は約1億2711万人(外国人を含む)ですが、2030年には1億1662万人に、2060年には8674万人にまで人口が減少すると推計されています(「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」国立社会保障・人口問題研究所)(図1−1)。人口減少に伴い、世帯数も減少傾向に向かいます。また核家族化するなど、平均世帯人員も小さなものになっています。 一方、住宅ストックに目を向けると、総住宅数は約6063万戸(2013年)に達し、5年前に比べて約305万戸(5.3%)も増加しています。2014年度は88万戸、2015年度は92.1万戸もの新築住宅が建てられました。年間100万戸以上が建設されていた時期(1968〜2008年度)には及ばないものの、今なお高い数字を示しているといえます。 世帯数が減少しているのにストック数が上昇しているのですから、その分、使われないストックは増えていきます。2013年の空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は13.5%に達し、およそ7〜8軒に1軒以上が空き家であることが分かりました。2033年には空き家率が30.2%に達するという推計も出ています(図1−2)。 ライフステージやライフスタイルの変化に応じて、私たちは時に住み替えも必要ですから、一定数の空き家は不可欠です。しかし管理の行き届かないストックもうかがえ、現在の空き家数の多さは健全な状況とはいい難いものがあります。手頃な価格で手に入る良質な住宅を 住宅取得の際、いくらなら無理なく購入できるかという目安のひとつに「年収倍率」があります。これは住宅価格を年収で割った数字で、一般に5倍以内が望ましいとされています。 しかし住宅価格の高騰や住まい手の年収の低下傾向から、近年この年収倍率が上昇しており、住宅取得者が返済に負担を強いられていることがうかがえます。とくに新築住宅ではこの傾向が強く、新築マンションは全国平均で7.66倍、首都圏だけに限ると10倍以上という数値が出ています((株)東京カンテイ調べ、2016年)。 持ち家を希望する方が無理なく住まいを手に入れるためには、新築だけでなく、既存住宅の活用が欠かせません。 今後、住宅産業においては一定数の新築住宅供給も必要でしょうが、それ以上に既存ストックを活用し、良質で手頃な価格の住宅を提供することが不可欠といえます。一度つくった住宅を短期に消費し、建替えを繰り返す「フロー型」でなく、長期にわたって大切に使い続けていく「ストック型」の社会への転換が、既に始まっています。● 人口減少、家余りの昨今、新築ばかりを建て続けるのでなく  既存ストックの活用が求められています。● 良質の住宅を提供していくためには、  既存住宅を長寿命で高性能なストックにすることが不可欠です。ここがポイント!

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