「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅶ
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46第1章 長寿命化リフォームの概要所有者が交代しても履歴を引き継ぐ 長寿命化リフォームを行えば、それで終わりというわけではありません。 長寿命化リフォームの実施後も、メンテナンスや計画修繕、リフォームの実施など、長期的な維持管理の継続が欠かせません。長期使用のためには、長寿命化リフォーム以降の維持管理が重要といえます。経年によって劣化が進むと大規模な修繕を要するため、主要な部位を定期的に点検し、問題箇所を早期に発見することが、劣化速度を遅らせ、性能の維持につながります。 こうした定期点検や計画修繕等の時期と費用の目安については、長寿命化リフォームの提案と併せて住まい手に示します。事前に維持管理の方法や更新時期を示しておくことで、従前の住宅に不足していた居住者等の管理意識が高まることにもつながっていきます。 また、長寿命化リフォームを行った住宅は、100年といった長期の利用を想定している住宅ですから、その住宅の全ライフタイムの間には、相続や中古流通による「住み継ぎ」が発生します。 図2−15に示すように、長寿命化リフォームを行った当初居住者のAさんは、長期利活用計画に基づいて定期点検や計画修繕、リフォームを行います。また、中古住宅を購入したBさんに、長期利活用計画を適切に引き継ぎし、継続的な維持管理を行います。履歴情報付きの流通でメリットも これまでの中古住宅流通においては、一定年数が経過した住宅はその評価が土地価格主体であり、確実に維持管理されて性能が確保されている住宅であっても、建物の価値が評価されないことが多くありました。 最近では、住宅性能や履歴情報に基づき中古住宅を高く評価しようという動きが、不動産流通業界から出てきました。公益財団法人不動産流通近代化センターの「価格査定マニュアル」では、2014年3月に国土交通省が示した「中古戸建住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」の内容を取り入れ、2015年に改訂を実施。基礎・躯体について、劣化状況の判定や、日常の点検・補修状況が価格査定に反映できる仕組みとしています。 リフォームによって長寿命化された住宅は、短命なストックから長期利活用が可能な住宅に生まれ変わったとも考えられます。これらが中古住宅流通時、新築当初からの長期優良住宅に準じた価格で査定されることになれば、住まい手の投資意欲につながり、流通活性化にもつながります。(図2−16) 自動車に車検証や整備記録簿が欠かせないように、今後住宅においても履歴の蓄積は不可欠なものになっていくことでしょう。長寿命化リフォームの担い手、組織 このような長寿命化リフォームと、その後の長期利活用計画に基づく長期使用を実現していくためには、コンサルタントの役割を担う専門家が待望されます。 リフォーム事業者や建築士、増改築相談員、マンションリフォームマネジャー、ファイナンシャルプランナー等の方々が、このような役割を担っていくことが期待されます。 また、社会全体に長寿命化リフォームの取り組みを進めていくうえで、都道府県・地域住宅リフォーム推進協議会などで、担い手育成、情報発信などの役割を果たすことが求められます。(図2−17)【第3段階】長期利活用計画に基づく維持管理やリフォーム長寿命化リフォーム後の維持管理、流通のあり方中古住宅流通維持管理・リフォーム新所有者による全体計画

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