「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅶ
166/180

160[第4章]ストック時代に向けたこれからのリフォームビジネス2-3 空き家活用で移住希望者をサポートオーナーと賃借希望者の間を取り持ち、空き家の再生と利活用を推進暮らしの問屋((株)畔道)(福岡県福津市)リフォームビジネスのポイント● 地域に残る空き家を活用し、移住希望者等に提供● サブリース等でオーナーや入居者の負担を軽減する工夫を● 新旧住人のコミュニティも取り持っていくオーナーや地域情報も伝えていく 福岡県・津屋崎は玄界灘に面した自然豊かなまちで、海岸は国定公園にも指定されています。1600年代から製塩業が盛んで、江戸時代は福岡有数の港町としてにぎわいを見せました。現在も明治や大正、昭和戦前期に建てられた民家が多く残され、江戸後期の古民家も残されています。 その津屋崎でも近年住人の高齢化が進み、空き家が増加している一方、自然豊かな町で暮らしたいと移住を希望する人たちも増えています。 「暮らしの問屋」代表の古橋範朗さんも東京からの移住組。不動産仲介業として単に住宅を提供するのでなく、その建物やオーナー、地域の情報を提供する=人の暮らしを見せながら、家選びの手伝いをしていくというスタンスを取っています。 この地では、NPO法人「地域交流センター津屋崎ブランチ」が、移住希望者に空き家を改修して貸し出す等の活動を行い、移住者を迎え入れていました。「暮らしの問屋」はこの津屋崎ブランチの活動を引き継いでいます。空き家オーナーの負担を減らす取り組みも 津屋崎には町家や古民家といった古いストックも多く残されており、それらの建物に魅力を感じる方も多数います。しかしオーナーの多くは「古くてそのまま使えない」「家財道具や荷物を置いている」「改修資金を持ち合わせていない」「他人が住むのが不安」と、貸すことに躊躇します。 古橋さんは、そんなオーナーと時間をかけて一緒に活路を考え、新たな住人の迎え入れに努めます。消防団への入会や地元の祭りへの参加等によって地域から信頼されると、情報もスムーズに入るようになりました。 長年使っていない建物は雨漏りや壁の傷みもあり、最低限の改修は必須となります。また、トイレは汲み取りのままでは入居者が躊躇するため、水洗にし、下水(本管放流)または簡易水洗に改良しています。 オーナーが改装費用を出せないことも多く、「暮らしの問屋」が借り上げて自社負担で改装し、転貸するような方法も取っています。 「これから住む人と、既に住んでいる人たちの顔つなぎを大切にしています。住まい手と大家さん、近所の人びとの顔が見えることで、互いに思いやる気持ちが生まれるなど、契約書ではつくれない関係を育むことができますから」(古橋さん) 同時に、重要視しているのが「家の思い出を継いでいく」こと。家を預かる大家さんからは、その家での思い出話をうかがい、エピソードを新たな住まい手に伝えています。

元のページ 

page 166

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です