「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅶ
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158[第4章]ストック時代に向けたこれからのリフォームビジネス空き家をまちの財産と捉え、価値を高める 日本一の超高層ビル「あべのハルカス」の誕生など、再開発で賑わう大阪・JR天王寺駅界隈。ここから2kmほど南に位置する阿倍野区昭和町や阪南町は、大正から昭和初期にかけて日本初の区画整理が行われたまちです。現在も表通りを1本入ると長屋や町家など、戦前のストックが多く残っています。ただ近年は古い建物が壊されて景観が一変したり、空き家も散見されていました。 この昭和町に本社を置く丸順不動産の代表取締役・小山隆輝さんは、近い将来エリア人口が減少し、衰退していくことを懸念。地域密着型の不動産会社の使命として、「阿倍野という“畑”を耕していく必要がある」と感じていました。 まちにあるストックを財産と捉え、これらを生かすことで新たな価値を生み出し、まちの価値を高めていけるのではと考えたのです。エリアマネージメントの視点で再生 昭和町一帯に多く残る長屋形式の住宅は、間口4m、奥行18mという細長い区画で形成されています。建替えた場合、その形状から3階建て住宅に置き換わることが多く、使い勝手が悪いうえに転売等しにくいストックでした。2-2 空き家の再生・活用でエリアの価値を高める空き家や空き店舗等をリフォームで再生、利活用し地域のまちづくり活性化に生かす● まちに残るストックを財産と捉え、さまざまな用途に再生● エリアマネジメントの発想で、地域のまち起こしに寄与● スムーズな入居のために新しい賃貸借形態を開発リフォームビジネスのポイント丸順不動産(株)(大阪市阿倍野区) 小山さんは、まず「安い家賃でいいから入居者を見つけてほしい」と考えるオーナーをターゲットに、リフォームやコンバージョンで長屋の新しい使い方を提案していきました。 昭和町にあった登録有形文化財「寺西家阿倍野長屋」を活かし、飲食店を誘致したところ、まちのシンボルとなり、人の集まるエリアに。以来、長屋や町家、築古の住宅・ビル等の再生を手がけています。 再生後の用途は住宅だけでなく、店舗、カフェ・レストラン、オフィスなど多彩。魅力的なテナントを計画的に厳選して誘致し、入居者と協力し合いながらまち自体を甦らせていくという、エリアマネジメントの視点を持ち込んでいます。 自己資金が少ない方でも無理なく開業できるよう、オーナーが改修費用を負担する代わりに15年の定期借家契約を締結したり(社会福祉施設の例)、初期投資を抑えるため当初5年間の家賃を減額するなど(飲食店の例)、オーナーとテナントとの間に立った契約条件の提案にも務めます。 こうしたストック活用提案活動においては、設計士やまちづくりコンサルタントたちとの提携ユニット「Be-Localパートナーズ」を中核として進めています。見積もりや施工の透明性を保つため、工務店は準メンバーとして扱い、複数社に協力してもらっています。

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