「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅶ
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06はじめに ストック型社会と長寿命化リフォーム日本でも性能本位での査定の動きが 新築・中古に限らず、1つの住宅を長期使用することで、どのようなメリットが生まれると考えられるでしょう(図1−8)。 まず、住まい手にとっての大きなメリットとして、生涯にわたる総住宅コストを低減できることが挙げられます。 築30年程度で建替えを繰り返すより、リフォームによって間取りの変更や設備の更新、内外装の模様替えを繰り返していくほうが、住まいのトータルコストを軽減できます。詳しくは次項「1−4 長寿命化リフォームがもたらすコスト低減」に示しますが、建替えを繰り返すより、1つのストックでリフォームを繰り返す方が、年間あたりの住居費を大きく減らせると試算されています。 長期使用が可能になると、自分たちだけで住まうだけでなく、売買や賃貸などの利活用も可能になるため、資産価値の向上にもつながっていきます。築年が古くても個々の住宅性能が高く、適切に維持管理されている住宅は、性能向上されていない他のストックより売却価格が高めに査定されるような市場が形成されつつあります。 住宅の長期使用は建替えを抑制しますから、CO2や廃棄物の削減など、環境面でも有利です。また、長寿命化された住宅は、良質なストックとして社会で利活用され続けますから、社会資産としての価値が高まるとも考えられます。どんな住宅に資産価値があるのか これまでわが国で行われてきた、住宅投資額と住宅資産額との関係を表したものが図1−9(上)になります。これを見ると昭和44年以来、50年近くで893兆円もの金額を住宅に投資してきたにもかかわらず、市場で評価される住宅の総資産額は、実際の投資額累計を約540兆円下回る額しか積み上がっていないことがわかります。 しかしアメリカなど海外では、リフォーム=投資という数式が成り立つ市場が形成されています。住まい手のリフォームや手入れ次第で、将来建物を売却する際の査定額に大きく差が出る仕組みとなっています。 軽い改装からリフォーム等の改築など、メンテナンスやリフォーム費用として投資した分だけ売却額が上がり、利益となって返ってくるのです。図1−9(下)をみてもわかるように、リフォームなど住宅への投資が不動産価格に反映されているばかりか、投資額より高い価格で取り引きされたりもしているのです。 そのためには、住宅性能の充実だけでなく、第三者が利活用しやすい高い汎用性や、不動産市場で取り引きされやすい市場流通性、適切な維持管理なども欠かせません(表1−1)。1-3 既存住宅を長寿命化させるメリットリフォームで必要な性能を付与することで、総住宅コストを軽減でき、資産価値も高められます● 住まいの長寿命化は住宅にかかるコストを低減し、また  住まい方を多様化させるなど、住まい手の生活向上に大きく寄与します。● 住まいの長寿命化は住まい手だけでなく、  環境面や社会面など、さまざまなメリットをもたらします。ここがポイント!

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