「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅶ
108/180

102第3章 空き家の利活用と再生のためのリフォーム空き家独自の再生アプローチが必要 「空き家」は、住宅ストックの一つの“状態”です。居住中(利活用中)の住宅も、住み替え等の発生により、一時的に「空き家」へと変化します。 空き家の利活用や再生に当たっては、居住中の住まいとは違った独特のアプローチが必要です。その理由として、・ まず「除却」または「再生」すべきストックかの判定が求められること・ 利活用目的が自己居住とは限らないこと・ 空き家を賃貸物件として利活用する場合、事業利回りや費用対効果等、資金面でのマネジメント性が高く求められることなどが挙げられます。空き家放置の弊害 空き家を正しく維持管理せず、長年放置すると建物の傷みや美観の低下を招きます。それを契機に、ゴミの投棄や害虫の発生、落書きや建物の破壊、放火の恐れなど、災害や犯罪問題等が起きかねません(表1-1)。 台風などの自然災害や大地震の際に倒壊する恐れのある、防災上危険な空き家が全国に点在しています。しかし、自治体などから所有者に危険防止の手立てを呼びかけても、費用の問題や、そもそも所有者が不明であることなどから、防止策が進んでいないのが実情です。 しかし現在、400以上の自治体において、空き家等の適正化に関する条例が制定、施行されています(平成26年10月時点)。この条例により、住民の安全で安心な生活が脅かされることがないよう、空き家を適切に維持管理していない所有者に対しては、防犯・防災上の観点から指導や勧告、命令、公表等の措置を行うことができるようになりました。時には警察等の力も借りながら、強制撤去等で危険な建物の除却が進められています。 次節で詳しく解説しますが、国も平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」などの法整備を進め、こうした自治体の活動を後押ししています。 国は危険な空き家の除却を先行させていますが、私たち住宅産業に従事するものは、利活用が可能な空き家について、積極的な再生を目指していきたいものです。空き家にもインスペクションを このように、空き家の利活用においては、まず第一に「利活用可能」か「除却すべき」か、この判定が重要になってきます。表1-2は2つの分類、図1-4は空き家の利活用・再生の流れを示したものです。 建物調査(インスペクション)は、空き家の再生過程においても不可欠なステップです。「利活用」「除却」の1次判断材料としても非常に有効です。1-2 利活用可能な空き家かの確認危険で不要な空き家は除却し、使える空き家は利活用を目指していきましょう● 空き家の放置によって災害や犯罪など、社会的な悪影響が出ており、  国や自治体は劣悪な空き家のスムーズな除却を目指しています。● 私たちは、インスペクション等を行いながら、活かせる建物の  利活用方法について提示していきたいものです。ここがポイント!

元のページ 

page 108

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です