「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅶ
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04はじめに ストック型社会と長寿命化リフォーム1-2 既存住宅の長期使用を目指す時代に短命なストックをリフォームで性能向上させ、不動産市場に流通させることで長期使用していく短命な日本の住宅を長寿命に わが国の取り壊された住宅の平均築後年数は約32年。アメリカの約67年、イギリスの約81年に比べると、はるかに短命であることがわかります(図1−4)。 また、住宅に関する投資金額に占めるリフォーム費用の割合については、わが国が30%未満なのに対して、ヨーロッパ諸国は50%を超えています(図1−5)。 これらのデータから、日本では「住宅を建てると、修繕・リフォームにはあまりお金をかけず、築後30年程度で簡単に建替えを選択する」という現状が浮かび上がってきます。 こうした日本の短命な住宅のスクラップアンドビルドの状況を改めるため、新築住宅を対象にした「長期優良住宅普及促進法」が2009年6月に施行されました。この法律では、良質な住宅が建築され、また長期にわたって良好な状態で使用されることが、住生活の向上や環境負荷の低減を図るうえで重要であるとうたわれています。 数度にわたる建築基準法の改正によって、住宅の基本性能は大きく強化されていきました。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」や住宅性能表示制度など、国の施策によって、多くの新築住宅は長期使用が可能な良質なストックとして供給される方向に進んでいるといえます。既存住宅の質を高める必要性 では、既存住宅はどうでしょう。 持ち家として住宅を取得する場合、大きく「新築住宅」と「既存住宅(中古住宅)」という2つの選択肢が考えられます。しかし、わが国の中古住宅の流通シェアは14.7%と、欧米に比べて著しく低い割合に留まっています。(図1−6) 住まいの選択肢を多彩なものにするためには、既存住宅の流通活性化が欠かせません。しかし消費者の中には既存住宅に対し、性能面での不安や前所有者の生活感の痕跡など、新築住宅に劣るイメージを持つ方もまだまだいます。 こうしたイメージを払拭するためには、既存住宅をただ不動産市場に流通させるのでなく、良質の住宅に再生したうえで供給する、性能向上の視点が欠かせません。 建物調査(インスペクション)等で現状の性能を明らかにしたうえで必要なリフォームを施し、住宅性能や室内環境を良質なものに向上・再生ささせる。それが消費者のイメージを良好なものにし、既存住宅のストック市場拡大につながっていくといえます。 工法も築年もまるで違う既存住宅(図1−7)を、性能向上させて安心して暮らせる住まいに変える。こうした手段として、「長寿命化リフォーム」が有効であり、期待されているのです。● わずか30年ほどで建て替えられてしまう日本の住宅を  良質のストックとして長期使用していく姿勢が欠かせません。● 築年・工法・維持管理状況等がさまざまな既存住宅の再生には、  長寿命化リフォームがとくに有効です。ここがポイント!

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