「長寿命化リフォーム」の提案Ⅵ
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02第1章 長寿命化リフォームの概要短命な日本の住宅を長寿命に わが国の取り壊された住宅の平均築後年数は約27年です。アメリカの約67年、イギリスの約81年に比べると、はるかに短命であることがわかります(図1−1)。また、住宅に関する投資金額に占めるリフォーム費用の割合については、わが国が30%未満なのに対して、欧米では50%を超えています(図1−2)。 このことから「日本では住宅を建てると、修繕・リフォームにはあまりお金をかけず、築後30年程度でに簡単に建替えを選択する」という現状が浮かび上がってきます。 こうした、わが国の短命な住宅のスクラップアンドビルドの状況を改めるため、新築住宅を対象にした「長期優良住宅普及促進法」が2009年6月に施行されました。この法律では、良質な住宅が建築され、また長期にわたって良好な状態で使用されることが、住生活の向上や環境負荷の低減を図るうえで重要であるとうたわれています。 ストック型の社会である現在、新築住宅ばかりでなく、既存住宅についてもリフォームによって長寿命な住宅にすることが求められます。このことは、資源の有効活用や環境負荷の低減が図られるばかりでなく、消費者の住居費負担の軽減を通じて生活の豊かさの向上が期待できます。長寿命化リフォームとは 「住宅をきちんと手入れして、長く大切に使う」――このような住宅・住文化へ移行するためには、単なる設備交換や内外装の改修などに留まらない取り組みが求められます。これからはリフォームによって住宅本来の性能を向上させ、長期にわたって使用していく姿勢が欠かせません。そうした利活用によって、長寿命化された住宅は所有者にとって資産価値が高まるだけでなく、社会的な資産としても機能していきます。 こうした社会性もあるリフォームについて、本書では「長寿命化リフォーム」と呼びます。スケルトンとインフィルに分け長期使用 長寿命化リフォームは、既存住宅に「スケルトン・インフィル」(SI)の概念を適用し、スケルトン(構造部)や外皮の耐久性を高めるとともに、インフィル(内装・設備)を適時交換して長期使用できるようリフォームするものと定義できます(図1ー3)。 実際に既存住宅について長寿命化リフォームを行うに当たっては、スケルトンや外皮については住宅の全ライフタイムに対応して劣化を遅延・軽減させるための措置を施すことで耐久性を高め、一方でインフィルについては居住者のライフステージやライフスタイルの変化等に対応できるよう、設備・配管など適時交換できるように改修します。このような長寿命化リフォームを行うことによって、住宅の使用可能期間中における維持管理やリフォームのしやすさにつながります。 これを長期的にみると、トータルでは住宅の維持管理コストの低減が可能となり、経済合理性を備えるものと考えられます(図1−4)。1-1 長寿命化リフォームとはリフォームによって建物をスケルトンとインフィルに分け、既存住宅を長期使用1 長寿命化リフォームの定義と意義

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