「長寿命化リフォーム」の提案Ⅵ
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08第1章 長寿命化リフォームの概要リフォームは「目的」でなく「手段」 長寿命化リフォームというと、ともすれば耐久性や耐震性、断熱性といった基本的な性能を付与、向上させることと捉えられがちです。しかし長寿命化リフォームとは、単に住宅性能向上を目的とするものではありません。ストックが長寿命化し、さまざまに利活用されることによって流動性を獲得することが、個人の資産性を高めるだけでなく、同時に社会資産として機能していくことにもつながります。 これからの住宅ストック市場においては、今後次の4つの視点を大切にし、常に意識しながら、今後の長寿命化リフォームの促進のあり方について検討を行うことが大切になっていきます。①【人】:住まい手の生活を支援する 1つの建物にどのようなリフォームを行うべきかは、現状の住宅性能や実施すべき工事にかかわらず、最終的には所有者や居住者の意向の尊重が不可欠です。それは、住環境の向上を通じて住まい手の豊かな生活につなげることが、リフォームの使命だからです。 そのため、リフォームはどのような動機や要望、ニーズによって行われるのか、その中で、少しでも長寿命化に資するリフォームにしていくために、住まい手に対してどのような説明や提案が有効かなど、「人」への働きかけがとりわけ重要になっていきます。②【性能】:知識や技術を高める 近年の新築住宅は長寿命住宅として、耐久性や耐震性、断熱性等への配慮が一般的になっています。その一方、既存住宅は築年も工法、仕様も違い、また維持管理状況によってさまざまな性能を有しています。リフォーム工事においては、そうした既存建物の状況等に即した、適切で合理的な手法で性能向上させることが求められます。 そのため、リフォームには新築以上に性能に対する理解と、それを実現するための知識や技術の向上が必要です。加えて、維持保全のための長期修繕計画の策定や実施も欠かせません。③【サービス】:ビジネスの範囲を広げる 建物を長寿命化させていくと、数世代にわたっての使用が当たり前になるため、使い方や具体的なリフォーム提案も、おのずと長期的な視点が必要になってきます。 これからのビルダーやリフォーム事業者は、単なる設計・施工に留まらず、長期利活用のための企画や提案や、売買や住み替え支援、資金や相続相談など、総合的な役割が求められていきます。 従来の業務範囲でなかったサービスの提供が求められていきますが、これら全てを1事業者で対応することには限界があり、さまざまな業界のプレーヤーとの提携や協働が求められていきます。 ④【地域】:社会の要請に応える リフォームによって長寿命化された住宅は、住まい手の愛着を越え、最終的に「地域・社会」にとっても活用されやすい状態とすることが求められます。なぜなら、これからの住宅は家族間だけでなく、第三者の使用も前提とした家づくりが必要だからです。 住まい手の要望に応えることも大切ですが、あまりにも個性的で特殊な間取りや仕様、デザインでは将来の使い勝手が悪くなり、建物の利活用性や資産価値を下げかねません。また、建物の外観カラーやデザインは修景や街並みとの調和等にも大きく影響します。将来の地域社会での活用の姿を想定した客観性あるリフォーム計画や実施も、これからのリフォームには重要なことなのです。1-4 長寿命化リフォームを実現する4つの視点住宅ストックの価値を高める意味を考える

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