「長寿命化リフォーム」の提案Ⅵ
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122第3章 空き家の利活用と再生のためのリフォーム 築年の古い賃貸ストックは、広さ、間取り、設備等、現在の賃貸ニーズとマッチしていないものが多いといえます。本項では、そんなストックを再生させ、流動性を獲得する手法を紹介していきます。専有面積の適正化 以前流行した若者向けの狭めのワンルームが、その地域ニーズとマッチしないようなケースがみられます。一般的に、専有面積の拡大は難しいものですが、隣り合わせの狭めのワンルームを2戸連接することで広いスペースを確保し、リフォームすることで2人以上〜ファミリー物件として再生し、新たなニーズを確保した例がみられます(図2−2)。こうした「2戸1」は、増築よりもはるかに実現させやすい対処法といえます。間取りの適正化 また一定の専有面積があっても、室内が細かく区切られ、1室の面積が狭めの部屋ばかりでは、現代の生活スタイルとマッチしません。そこでリフォームによって部屋の間仕切りを取り払い、LDKなどを広くしつらえることで、競争力を回復するケースが考えられます(図2−3)。 こうした間仕切りの撤去は、賃貸に限らず、古い間取りを現代的な生活動線に変えるための基本プランといえます。設備の適正化 収益率が優先されがちでリフォーム機会の少ない賃貸住宅は、もともとの設備グレードが決して高くなく、内装や設備の社会的劣化も大きい傾向にあります。例えば、バスルーム、トイレ、洗面台が一体化した「3点ユニットバス」は、現在の賃貸ニーズにマッチしていません。 こうしたミスマッチを解消する設備機器の交換・導入が、新たな競争力の獲得につながります(図2−4)。耐震性能の確保を 持ち家を賃貸化するなどの場合、設備機器や内装の更新を賃借人に任せることはできますが、耐久・耐震性能など、入居者が自費での性能向上を図りにくい構造部については、所有者側で性能向上させる必要があります。 空き家となっている戸建て住宅の転貸を支援するため、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)が「マイホーム借上げ制度」を設けています(136ページ参照)が、借り主の保護と安心のため、耐震性が確保されている住宅であることが前提となっています。 現況のままでも貸し出しは可能ですが、耐震性能が十分でない場合、耐震補強を実施した後に賃貸市場に流通させることを当たり前にしていきたいものです。 個人所有であることの多い賃貸ストックは、ともすれば賃貸部(室内)の性能向上が優先されがちな傾向にあります。しかし入居者の安全性や居住性の向上とともに、長期使用によってその建物を資産化させるためには、構造部や共用部など、建物全体を性能向上させる意識が欠かせません。2-2 賃貸空き家の再生手法老朽化、陳腐化した間取りや設備、内装をリフォームで現在の要求水準に近づけていきましょう

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