「長寿命化リフォーム」の提案Ⅵ
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120第3章 空き家の利活用と再生のためのリフォーム*本テキストは主に戸建て住宅を対象としていますが、この項(賃貸空き家)においては、アパート(木造、軽量鉄骨、プレハブ等)やマンションタイプ(R造、RC造、SRC造等)の集合住宅を主たる対象として、その再生手法について検討しています。空き家の内訳と今回調査対象について 約820万戸の空き家総数の内訳をみると、「賃貸用の住宅」が52.4%(429万戸)と過半数を占めていることがわかります(図2−1)。そのため、賃貸空き家の利活用や性能向上手法を実施していくことが、ストック全体の空き家率減少と利活用推進に寄与すると考えられます。 これだけの空き家率でありながら、新築賃貸住宅の供給数は近年も大きな伸びを見せています。その理由として、土地や家屋の相続に際して、相続税を低く抑えるために賃貸住宅を建設する手法が多く取られており、これが空き家の増加にもつながっています。 平成25年時点で賃貸住宅の空き家率は18.9%に達しており、大まかに言えば約5室に1室が空き室、という計算になります。これは持ち家も含んだ住宅全体(13.5%)より高い数値で推移していることになります。競争力が衰える要因 賃貸ストックの競争力が衰える要因は、建物の老朽化や室内の機能・内装劣化などの要因が挙げられます。劣化も、老朽化などの「物理的劣化」だけでなく、「機能的劣化」「社会的劣化」などが考えられます(表2−1)。また、そのストックの建つ地域やエリア内の賃貸ニーズによっても大きく左右されます(表2−2)。リフォームで競争力を高める 前述のように、新築の賃貸住宅が現在も多数供給されていることから、賃貸物件は築年の浅いものでもすぐに競争力が衰えがちな傾向にあります。まして築年の古い物件では、抜本的な価値向上を目指さない限り、競争力の回復が難しくなっています。 築年数の経った賃貸物件でも入居率を高めるため、オーナーによっては賃料や敷金・礼金等の減額、フリーレント(無料入居)期間の設定等で対抗するケースもみられます。しかしこうした行為がデフレを誘発し、市場全体に下げ圧力を呼ぶケースも少なくありません。 そうした中で、リフォームは賃貸ストックの競争力回復に効果的な手法といえます。 リフォームによる再生はストックの価値改善が期待できるため、前向きな価値向上のアプローチとなり得ます。そのアプローチ例は次項でご紹介します。 一時的な対処では、賃貸ストックの将来にわたる利用価値の向上には決してつながっていきません。市場ニーズに見合ったリフォームによって、長期的な空き室解消は図れます。 リフォームによって、ストックの抜本的な価値を高める作業が不可欠です。2-1 賃貸空き家の概況自己居住用の持ち家以上に空き家率が高く、再生のための提案が待たれています2 賃貸空き家の利活用と再生手法

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