「長寿命化リフォーム」の提案Ⅵ
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108第3章 空き家の利活用と再生のためのリフォーム危険な空き家が壊されない理由 危険な空き家であることを所有者が認知していながら、あえて建物を取り壊さず、そのまま放置しているケースが全国でみられます。その一因として、建物を解体して更地にすると固定資産税や都市計画税が大幅に増額するため、所有者が放置するといったケースがあるのです。 表1−3は空き家の維持管理にかかるコスト例になります。たとえ使用しない土地や建物であっても、所有している以上は毎年固定資産税や都市計画税はかかってきます。利活用の予定がないのであれば、不動産流通市場で売却する方が資産化できますし、土地やストックの利活用にもつながります。あるいは更地にして次の利活用法を検討する方が、建物の維持管理の手間もコストも省けるわけです。 しかし、土地に対する固定資産税には「住宅用地特例」という制度があり、住宅用の土地であれば、固定資産税が6分の1(建物の200㎡以下について。200㎡超は3分の1)に大幅減額されます(表1−4)。 これを逆に読み取ると、住宅を解体して更地にすると、翌年から固定資産税や都市計画税が約6倍と大幅アップしてしまうということになってしまいます。そのため、利活用の予定がない空き家であっても、所有者は解体せずにそのまま放置しがちというわけです。「特定空家」には特例が適用されなくなる こうした背景から、国は平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を制定しました。この背景には、適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため、対応が必要であることが挙げられます。 国は危険な空き家について「特定空家等」と呼称し、スムーズに除却できるよう整備を進めることとしました(表1−5)。 建物は個人の財産であるため、いかに危険であってもこれまで解体要請など法的な指導ができない状況にありましたが、この法律制定によって、特定空家等に対しては除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言、指導、勧告、命令が可能になりました。さらに、要件が明確化された行政代執行の方法により、強制執行が可能となり、地方自治体の条例制定と併せて、自治体の権限による除却が始まりました。 先に紹介した「住宅用地特例」についても、平成27年度の大綱で、特定空家等への適用がなくなることが決定しました(図1−5)。 これにより、今後危険な空き家については、建物を残す理由もなくなり、除却が進んでいくものと考えられます。1-3 危険な空き家の除却の必要性税額軽減等の理由で危険で不要な空き家が残されています空き家対策事業で除却した空き家(東京都文京区)

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