「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅴ
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17リフォーム技術と手順継承する職人の衰退などの課題もあります。 ところが、価格や工期に縛られがちで効率優先が最重要である新築住宅と違って、リフォームにおいては、このような「本物」にもう一度住まい手の目を向けることが可能かもしれません。 なぜなら、発注者である住まい手と、時間をかけてリフォーム計画を練ることができるからです。時代が成熟期を迎えるなかで、住まい手も安さばかりでなく本物志向へと意識が変化してきています。新築時には、家を建てるという「一大事業」に目を奪われ、どちらかというと関心が向かわなかったこうした本物へのこだわりを、リフォーム時には引き出すことができるでしょう。 つまり、リフォーム市場においては、地場産材などの地域の建材をリフォームにおいて用いる可能性の広がりがあるでしょう。また、内装などの仕上げでも、味気ないビニルクロスよりも、左官による伝統的な湿式工法による仕上げも見直されてきていると言います。 人々の地域の環境やエコロジーへの関心の高まりを捉えて、こうした地場産業や、地域の伝統的な工法についても見つめ直すことも大切です。中古流通を視野に入れた社会財としての視点 住宅がこれまで平均30年と短い期間で取り壊されてきたこと、また日本人は定住志向であることもあいまって、自分の住む住宅を、家族以外の誰かが住むことになる、という発想や視点がこれまでは欠けていました。 ただし、住宅が長寿命化され、長く使われる時代においては、相続はもとより中古流通などで、まったく違う家族が住み・使うことが当たり前のことになります。 つまり、ストック型の社会においては、住宅は30~60年程度の中期的には、その家族の住み・暮らす家かもしれません。ただし、住宅の全ライフタイム(例えば100~200年)を視野に入れると、他の家族・複数の家族の手に渡って住まわれる家になり得るということを意味します。 これからは、住宅を「マイホーム」としてだけでなく、将来にわたる「社会財としての住宅」という視点を持たなければなりません。 このようなストック時代の住宅に求められるのは、耐久性など基本性能が優れていることはもちろんですが、様々な家族が暮らすことに対応できる柔軟性や、歴史を重ねて味わいを増して末永く愛されるような住宅としていくことが求められます。 以上、長寿命化リフォームで備えるハード寄りの住宅性能だけではない、ソフト面のあり方について整理してきました。 住宅の長期使用が求められる時代においては、長く住み継がれるためのソフト面の対応の大切さについても考える必要があるでしょう。住宅とひとくちに言っても様々な背景を持ち合わせています

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