「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅴ
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142第3章 リフォームビジネスの新たな取り組み住宅履歴を既存住宅でも当たり前に 中古住宅を購入する際の不安として、住宅の耐震性がわからない、住宅に不具合がないか心配といった声が聞かれます。中古車市場においては、車検証と一緒に保管されている整備履歴等によってある程度の不安を解消できますが、多くの中古住宅にはこうした履歴情報を示す書類等が十分でなく、消費者の不安につながっていると考えられます。 事業者の中には、新築工事を請け負った住宅の引渡し時から情報の蓄積を開始し、定期点検や維持管理業務という形で住宅の状態を把握、蓄積しているところもあります。長期優良住宅など、昨今の新築住宅はこうした住宅履歴システム(「いえかるて」など)が当たり前になっていますが、今後既存住宅でも、資料の一元化や履歴の保管、活用等を進めていくことが必要です。点検や維持管理サービスを自社の業務に 国土交通省が「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を策定(2013年)するなど、既存住宅の性能・劣化状況を的確に把握することにつながる制度整備が進められています。これらを活用して、消費者に住宅の定期的な点検を促すことが、専門家としての事業者の役割ともいえます。 今すぐ住まい手に自主的に定期的な点検を行うよう促すことは難しいことから、事業者がOB顧客に対して積極的に定期点検を実施し、その情報を住宅履歴として保管しておくことが重要です。あるいは定期点検サービスや維持管理業務を自社のサービスメニューとすることで、新規の顧客=将来のリフォームや建替え見込み客の獲得にもつながるビジネスチャンスとなります。点検や維持管理サービスを自社の業務に では既存の資料がない場合、どう対処していくのがよいでしょうか。リフォームで構造や空間を一新するのも一案ですが、その前段階として、現状の住宅性能を確認するインスペクションが有効です。建物の現状性能が客観的に評価=可視化されますので、お客様の安心感につながります。不足している性能についてはリフォームで性能向上できますし、必要な性能向上レベルがはっきりしているため、適切な費用でリフォームできるコスト面でのメリットも見逃せません。 図面がない場合は、費用をかけてでも新規に作成することで、以後の維持管理計画やリフォームの拠り所となります。リフォームは、そうした履歴サービスの開始や、性能の明確化をスタートさせる、絶好のチャンスでもあるのです。 以上、住まい手の立場から図面や住宅履歴の有用性について取り上げましたが、見方を変えて、その建物から見たメリットを確認してみましょう。建物の所有者(ヒト)でなく、住宅(モノ)とともに住宅履歴が継承されることで、建物の利活用が進み、ストックの長寿命化につながっていくと考えられます。課題⑤「中古住宅は性能面に不安があるし、図面や履歴のない物件も…やはり新築の方がいいのでは」と考える方は多い● インスペクションを実施し、中古住宅の  性能に関する「見えない不安」を解消する● リフォームは、住宅履歴の開始や  資料の整備を開始する絶好の機会である対処法

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