「長寿命化リフォーム」の提案 Ⅴ
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140第3章 リフォームビジネスの新たな取り組み子世代が住み継がない これまで住宅の取得、とりわけ戸建て住宅を建てるようなケースにおいては、その家を終の棲み家として捉え、以後家族間で住み続けていくことが想定されていました。郊外の庭付き一戸建てが長年「住宅すごろく」の“上がり”としてイメージされ、戸建て住宅の取得が多くの日本人にとっての人生最大の目標だったわけです。しかし昨今では、こうした考え方が大きく変化しています。 まず、建て主の子世代が、相続や贈与を受けてもその家に住み続ける保証がなくなってきています。特に地方部では、地元での就職難などから都市部への流出が顕著になっており、住み継ぎの阻害要因のひとつとなっています。 また建て主が高齢になるにつれ、郊外の広い戸建て住宅より、都市部のコンパクトなマンション住まいの方がリタイア後を快適に過ごせることに気付きました。子どもが独立した後は再び夫婦だけで暮らすのに、広い戸建て住宅では維持管理が手間になります。買い物や通院、その他の所用を、徒歩や公共交通機関の利用で済ませられる利便性は、高齢の方にはありがたいものです。今や、建てた本人でさえ住み続けるのでなく、住み替えを希望する傾向が高くなっているようです。持ち家は第三者による利活用の時代に 総務省の「2013年住宅・土地統計調査」(2014年7月速報集計結果)によると、国内の総住宅数の6,063万戸に対し、空き家は約820万戸と、空き家率は過去最高の13.5%にまで達しています。 家族間で住み継ぐことが難しいのであれば、今後は住み替えて現在の住まいを売却したり、賃貸に回すなど、第三者の利活用が重要になります。 では、いざという時に売却しやすい家とはどのようなものでしょう。ロケーションを別にすると、まず建物の基本性能が備わっていることが挙げられます。特に耐久性や耐震性など、構造部の強度は長期使用のために不可欠な性能です。また、住まいのランニングコストや快適性を左右する省エネ性も重要です。 このように、売却時などを含め、資産価値を確認するためには建物の性能が客観評価できることが求められていきます。住宅性能表示制度等で性能の可視化を 住宅性能表示制度に基づく現況検査や、民間事業者が行うインスペクション(建物検査)を活用すれば、住宅性能が客観評価されるため、既存住宅の性能・劣化状況を的確に把握しやすくなります。建物が有する価値を類推しやすくなるため、売却が必要になった際にもスムーズな査定が期待できます。 中古流通市場では、リフォーム済みの物件はリフォームを行っていない物件よりも、市場での評価が高い傾向にあります。今年度から開始した既存住宅の「長期優良住宅化リフォーム」も、獲得する性能基準が明確であり、資産価値の維持や向上に有効と考えられます。 住まい手なら、誰しもリフォーム工事に要した費用分は住宅の資産価値が上がってほしいと考えるものです。そのためには個人の趣味性の高い“お化粧リフォーム”でなく、正しく性能向上をめざす“長寿命化リフォーム”が、投資効率が高い工事といえます。課題③「終の棲み家」として住宅を取得する意識が強く、資産価値に対する関心があまり高くない● 住宅性能表示制度等を活用し、住宅性能を明確にする● 「長寿命化リフォーム」を実施することで、  いざという時に売りやすい家にする対処法

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